
与信調査(信用調査)は、取引先の信用力を評価することで、企業の経営を安定させるために欠かせないものです。この記事では、与信調査を行わないと生じるリスク。そして、与信調査と合わせて行うべきことを解説します。
与信調査を行わないと生じるリスクとは?与信調査と合わせて行うべきことを解説
与信調査を行わないと生じるリスク
不適切な取引条件の設定
与信調査を行わないと、取引先の財務状況や信用力を正確に把握できず、リスクに見合わない緩い取引条件を設定してしまう可能性があります。
例えば、支払い期限を必要以上に長く設定したり、与信限度額を高く設定したりすることで、自社が過大なリスクを負うことになります。
これにより、資金繰りの悪化や売掛金回収コストの増加など、自社の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
与信調査を行うことで、取引先のリスクに応じた適切な取引条件を設定できます。
不良債権の発生
与信調査を行わずに取引を開始すると、支払い能力のない取引先に商品やサービスを提供してしまうリスクがあります。
その結果、代金回収が困難になり、不良債権が発生する可能性が高まります。
不良債権の増加は、企業のキャッシュフローを悪化させ、運転資金の不足や投資機会の損失につながります。
さらに、自社の信用力低下や金融機関からの融資条件の悪化など、経営全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
取引先との関係悪化
与信調査を適切に行わないと、取引先との関係悪化につながる可能性があるため、注意が必要です。例えば、取引先の実態を把握せずに過度に厳しい取引条件を設定してしまうと、取引先との信頼関係を損ないかねません。
一方で、リスクを過小評価して緩い条件を設定し、後から条件を厳しくすることも、取引先との関係を悪化させる要因となります。
適切な与信調査を行うことで、取引先の状況に応じた適切な条件設定が可能となり、長く良好なビジネス関係を構築できます。
突然の取引停止
与信調査を怠ると、取引先の経営状況の変化や財務悪化を見逃し、突然の取引停止に直面するリスクがあります。
取引先の経営破綻や倒産に気付かずに取引を継続していると、急な取引停止により、必要な商品やサービスの供給が途絶える可能性があります。
その結果、代替取引先の確保が間に合わず、自社の事業に重大な影響を与えかねません。
定期的な与信調査を行うことで、取引先の状況変化を早期に把握し、適切な対応を取れます。

与信調査と合わせて行うべきこと
反社チェック
取引先や社員に反社会的勢力と関わりを持つ人物がいないかをチェックする
コンプライアンス違反による業績の急落を防ぐため、新たな取引先と契約する前や社員を採用する前に実施する
定期的な再評価
取引先の信用状況を定期的に見直し、与信限度額や取引条件を調整する
取引規模や業界の特性に応じて、適切な頻度で実施する
財務状況や支払い履歴、経営者の変更などの情報を収集し、分析する
与信管理の体制づくり
管理部門と営業部門が連携し、情報を共有する
営業担当からの情報を与信管理に活用する
審査基準を明確にして、社内で共有する
与信限度額の見直しや取引条件の変更など、信用状況の変化に応じて対応する
与信調査では、取引先の財務状況や支払い能力、企業コンプライアンスなどを確認します。特に大口の取引や長期的な契約を結ぶ前には、丁寧な信用調査を行うようにしましょう。
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