サプライチェーンファイナンスとは?ファクタリングとの違いを解説
- FA
- 3月5日
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更新日:4月6日

サプライチェーンとは
製品は一般的に、調達、生産、販売という工程を経て、市場に供給されます。例えば、ビールであれば、メーカーが麦芽やホップといった原材料やアルミ缶やガラス瓶などの資材を取引先から調達し、工場で生産した後、卸に販売。さらに卸が酒飲店(飲食店など)や、スーパー・コンビニといった小売りに販売し、消費者が店頭で購入します。
この一連の流れをサプライチェーンと言います。サプライチェーンは日本語で供給連鎖と表現されることもあります。
サプライチェーンファイナンスとは
サプライチェーンファイナンスとは、企業の構築する部品や原材料の供給網といったサプライチェーンに金融機関が絡み、売掛債権の購入などを実施することで、製品の製造から販売までの一連の流れにおける企業の早期資金化をサポートする金融サービスのことをいいます。
サプライチェーンファイナンスとは?ファクタリングとの違いを解説

サプライチェーンファイナンスの目的と仕組み
目的
サプライチェーンファイナンスの目的は、売掛債権を支払い期日前に現金化することです。
手元に現金がない場合でも、受注者(サプライヤー)に対して期日前に支払いができます。
期日前の支払いを可能にすることで、サプライチェーンを維持することができ、売掛先も不安を抱えず商品を販売できます。
売掛債権の支払いサイトを短期化すればよいとも考えられますが、売掛先の現金が潤沢にあるわけではありません。
したがって金融機関が買掛金を立て替え、発生した手数料を買掛先に負担してもらうことがサプライチェーンファイナンスの目的といえます。
仕組み
受注者(サプライヤー)が売掛先(バイヤー)に商品を販売し、商品代金の支払いについては30~180日後と約束をする
受注者(サプライヤー)は金融機関に承認された請求書を渡し、債権額に応じた金額を金融機関から受け取る
売掛先(バイヤー)は指定期日に金融機関へ商品代金を支払う

ファクタリングとの違い
利用する目的
主導者の違い
契約形態
でんさいネットへの加入
利用する目的
サプライチェーンファイナンスは、サプライチェーンで取引される原料や商品の代金を立て替えるためのサービスです。
モノを仕入れるバイヤー向けのサービスであり、債務者が利用できます。
サプライチェーンファイナンスを利用すれば、安定的に商品を提供するために役立ちます。
一方、ファクタリングは、支払い期日より前に売掛金を現金化するサービスです。
他の企業へモノを提供するサプライヤー向けのサービスであり、債権者が利用できます。
ファクタリングを利用すると売掛金を早期に回収できるため、よりスピード感のあるビジネス展開を目指せます。
主導者の違い
通常のファクタリングの主導者は受注者(サプライヤー)です。
手元のお金が少ないときなどに、売掛債権を保有している受注者(サプライヤー)がファクタリング会社に買い取りを依頼し、売掛金を現金化します。
サプライチェーンファイナンスは、売掛先である発注者(バイヤー)が期日に支払いできないことに備えて、立て替えてもらうように金融機関に依頼します。
同時に期日または後日に立て替えてもらった分を支払うことを約束するため、発注者(バイヤー)主導で実施する違いがあります。
契約形態
サプライチェーンファイナンスは、サプライヤーの同意を得た上で電子記録債権を譲渡し、融資契約を交わします。
金融機関、バイヤー、サプライヤーの3者間で契約しますが、契約を主導するのはあくまでもバイヤーです。
ファクタリングはファクタリング会社と債権譲渡契約を交わします。
ファクタリングでは、ファクタリング会社とサプライヤーによる2者間の契約も可能です。
状況によってはファクタリング会社、サプライヤー、バイヤーによる3者間ファクタリングを実施することもあります。
どちらの場合も、契約を主導する側はサプライヤーになります。
でんさいネットへの加入
サプライチェーンファイナンスを利用するには、バイヤーとサプライヤーが「でんさいネット」に加入する必要があります。
でんさいネットとは、電子記録債権を取引するためのインフラです。
加入するには銀行との既存の取引が条件となっており、審査もあります。
バイヤーとサプライヤーの両方の加入が求められているため、サプライチェーンファイナンスの利用条件を満たすまでに時間がかかる可能性もあります。
ファクタリングを利用する場合に関しては、でんさいネットへの加入は必要ありません。
サプライヤーがファクタリング会社へ申し込んで審査に通れば、すぐに資金調達できます。
サプライチェーンファイナンスの利用が向いているケース
買掛金の支払期日が短い場合
買掛金の支払期日が短いと一時的に自社が保有する現金が極端に少なくなり、資金繰りが悪化する恐れがあります。
そんな時にサプライチェーンファイナンスを利用すれば、実質的に買掛金の支払いを先延ばしにすることが可能です。
サプライチェーンファイナンスでは金融機関が買掛金を立て替え払いするため、サプライヤーに対しては早い段階で支払いを完了させられます。
ところが、実際の出金は後になるため、資金繰りが厳しくなる事態を防げることでしょう。
買掛金を多く抱えている場合
複数の仕入れにより買掛金の総額が高くなっている場合、すべてを一度に現金で支払うと自社の資金が不足する恐れがあります。
そんな時にサプライチェーンファイナンスを利用すれば、すべての買掛金の支払いを同時期に行う必要がなくなります。
金融機関が買掛金の支払いを代行するため、実質的な支払いのタイミングを遅らせることが可能です。
まとまった資金が入ってくるタイミングに合わせて支払いを調整できます。
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