コーポレートガバナンス・コードとは?特徴や基本原則5つをわかりやすく解説
- FA
- 3月13日
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更新日:4月7日

コーポレートガバナンス・コードとは
コーポレートガバナンス・コードとは、金融庁と東京証券取引所が合同で取りまとめた東証上場企業の行動原則のことです。企業が株主をはじめ、顧客や企業の従業員、地域社会、さまざまなステークホルダーとの相応しい関係性、また企業が不正や問題を防止するためにあるべき姿について示されています。
コーポレートガバナンス・コードは、CGCという頭文字を取った略称での表現でも知られています。
コーポレートガバナンスとは
コーポレートガバナンスとは、企業の組織ぐるみの不祥事を防ぐために、社外取締役や社外監査役など、社外の管理者によって経営を監視する仕組みのことです。
株式会社の所有者である株主や、その他の利害関係者の利益を最大化するため、企業不祥事の防止と長期的な企業価値向上を目的として、社外取締役・監査役および委員会の設置、取締役と執行役の分離などを行います。
アメリカをはじめとする各国が取り組み、国際的な重要度が高まっています。
コーポレートガバナンス・コードとは?特徴や基本原則5つをわかりやすく解説

スチュワードシップコードとの違い
スチュワードシップコードとは、2010年にイギリスで定められた、金融機関を中心にした投資家の理想的な振る舞いを示すガイドラインのことです。金融危機が深刻化した原因は、金融機関が投資した企業の経営を十分に監視していなかったことだと考え、対策として設置されました。スチュワードシップコードとコーポレートガバナンス・コードの違いは、対象者や目的です。スチュワードシップコードは主に機関投資家を対象としているのに対して、コーポレートガバナンス・コードは主に上場企業自体を対象としています。スチュワードシップコードは、投資家が投資先企業の経営に対して責任ある態度で関わり、そのための指針や行動原則を提供することが目的です。
コーポレートガバナンス・コードは、企業の透明性や公正性を高め、企業の成長や価値の向上を目指す取り組みやルールを設定することを目的としています。
コーポレートガバナンス・コードの特徴
コーポレートガバナンス・コードの特徴である2つの手法
プリンシプル・ベース・アプローチ
コンプライ・オア・エクスプレイン
プリンシプル・ベース・アプローチ
プリンシプルベース・アプローチとは、詳細なルールを制定せずに、抽象的な原則だけを定めた原則主義のことです。
市場は絶えず変化しており、詳細なルールを制定しても実情に合わなくなることが多いのが現状です。一方、地理的、時間的要素の差異を超えて広く妥当する原則があります。原則主義であるプリンシプル・ベース・アプローチは、大枠のルールだけが定められており、その詳細については各企業の実態に応じて決めることが可能です。原則をもとに事態に対応することで市場参加者の創意工夫の余地を高め、市場の革新性を期待できます。
プリンシプル・ベース・アプローチは、自由度と柔軟性というメリットがありますが、抽象的な原則であるため、人によって解釈の仕方が変わるという点があります。関係者各自が、原則の趣旨を十分に理解する必要があります。
コンプライ・オア・エクスプレイン
コンプライ・オア・エクスプレインとは、コーポレートガバナンスコードを遵守する、または遵守しないのであれば、正当な理由を株主やステークホルダーに説明しなければならないというものです。
コーポレートガバナンス・コードの原則をすべて遵守する義務はありません。しかし、遵守しない原則があった場合は、その理由を株主やステークホルダーへ十分に説明する必要があります。
企業側が株主やステークホルダーへ説明し、遵守することが適当でないと判断されれば、その原則を遵守しないことが認められます。

コーポレートガバナンス・コードの基本原則5つ
株主の権利・平等性の確保
株主以外のステークホルダーとの適切な協働
適切な情報開示と透明性の確保
取締役会等の責務
株主との対話
株主の権利・平等性の確保
株主の権利・平等性の確保とは、上場会社が株主の権利を実質的に確保されるよう適切に対応することで、株主もまた権利を適切に行使できるよう整備を行うことをいいます。
株主の権利を整備することは、株主との適切な協働を確保でき、企業の持続的な成長につながります。
また、少数株主や外国人株主については、権利の確保や行使などが適正であるか疑念が生じやすいため、権利の平等性については十分な配慮が必要です。
株主の権利・平等性を確保するための具体的な施策として、「資本政策の基本的な方針を説明すること」「株主の判断の役に立つ情報を正確に提供すること」などが挙げられます。
株主以外のステークホルダーとの適切な協働
株主以外のステークホルダーとの適切な協働とは、上場会社は持続的な成長および中長期的な企業価値の創出は株主以外のステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを認識することです。
企業が守るべき法令の遵守はもとより、企業倫理や地球環境、社会貢献等に対する考え方を含めて経営理念を制定したりしています。
適切な情報開示と透明性の確保
適切な情報開示と透明性の確保とは、上場会社は、会社の財務情報や、経営戦略やリスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むことをいいます。
株主およびステークホルダーにとって重要と判断される情報について非財務情報を含めた自社のウェブサイトや東京証券取引所等のウェブサイトなどを通じて、積極的に情報開示を行ったりしています。
取締役会等の責務
取締役会等の責務とは、上場会社の取締役会は株主に対する説明責任などを踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促して収益力・資本効率等の改善を図るべく役割・責務を適切に果たすことをいいます。
株主との対話
株主との対話とは、上場会社の経営陣は株主総会の場以外でも株主との間で建設的な対話を行うべきことをいいます。
経営陣は株主やステークホルダーに対して、経営方針や新規事業や既存事業の計画を含めた今後の施策などを分かりやすく説明し、その中で懸念点があれば適切な対応が求められます。
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