
コーポレートガバナンスとは
コーポレートガバナンスとは、企業の組織ぐるみの不祥事を防ぐために、社外取締役や社外監査役など、社外の管理者によって経営を監視する仕組みのことです。
株式会社の所有者である株主や、その他の利害関係者の利益を最大化するため、企業不祥事の防止と長期的な企業価値向上を目的として、社外取締役・監査役および委員会の設置、取締役と執行役の分離などを行います。
アメリカをはじめとする各国が取り組み、国際的な重要度が高まっています。
コーポレートガバナンスが注目されている背景
1990年代のバブル崩壊後、企業では経営不振や成果主義などの運営の変化に伴い、不正会計や時間外労働など不正や不祥事が明らかになるケースが多発しました。そのような不祥事を防ぐために、企業を統治すべくコーポレートガバナンスへの注目が高まりました。
注目されるようになった主な背景
企業による不正や不祥事の発覚が増加
経営を監視する仕組みの必要性が高まった
少子高齢化による働き手の減少
日本企業の稼ぐ力が弱まっている
外国人投資家の持ち株比率が増加している
コーポレートガバナンスとは?コンプライアンス・内部統制・CSRとの違いや目的を解説

コーポレートガバナンスの目的
経営の透明性を確保する
株主の権利と平等性の確保
ステークホルダーの利益を守る
経営陣による経営暴走の防止
中長期的な企業価値を向上させる
経営の透明性を確保する
ステークホルダーとの関係性を良好に保つためには、企業の情報を適切に開示する必要があります。
財務情報や経営戦略・リスクマネジメントなどは、企業の現状を把握するために重要な情報です。情報を開示して透明性を確保することで、ステークホルダーの信頼を高めることができます。
株主の権利と平等性の確保
株主の権利・平等性の確保とは、上場会社が株主の権利を実質的に確保されるよう適切に対応することで、株主もまた権利を適切に行使できるよう整備を行うことをいいます。
例として、上場会社は少数株主を含めたすべての株主に対して平等に権利行使されるよう充分配慮を行い、株主総会で株主が適切な判断を下せるよう必要な情報は必要に応じて提供することがあります。
ステークホルダーの利益を守る
企業はさまざまなステークホルダーとの関わりの上に成り立っています。例えば、株式会社であれば会社は株主のものであり、経営者はあくまで経営を委任された立場です。
経営者の利益のみを求める経営をするのではなく、ステークホルダーの利益を守る必要があります。企業は決して経営者のみの力で成り立っているのではないという認識のもと、ステークホルダーの権利や利益を守る経営を心掛ける必要があります。
経営陣による経営暴走の防止
会社の所有者である株主と会社の経営者とが一致していない株式会社の下では、経営者は会社財産を減少させても自らへの影響は限定的です。そのため、経営者は自らの利益を図るために暴走する危険があります。
会社の財産が減少すると、企業価値は毀損するため、それを防ぐ仕組みが必要となります。それを防ぐための仕組み作りがコーポレートガバナンスです。
中長期的な企業価値を向上させる
コーポレートガバナンスに取り組むことで情報の透明性を高め、社会的信用を得やすくなります。
また、信用の高い企業は金融機関からの信頼も高くなり、資金を得やすくなるなど財務状況の向上にもつながります。
コーポレートガバナンスを強化することで得られるさまざまなメリットにより、企業価値を向上させ経営の安定化や向上も期待できます。

コンプライアンス・内部統制・CSRとの違い
コンプライアンスとの違い
コンプライアンスとは、法令遵守のことです。守るべきものは法律にとどまらず、社会倫理や企業倫理と言ったマナーやモラルも含まれます。
コンプライアンスが法令や倫理を守ることであるのに対し、コーポレートガバナンスは法令や企業内のルールを守るための仕組みと言えます。つまり、コンプライアンスを守るための要素がコーポレートガバナンスとなります。
内部統制との違い
コーポレートガバナンスと似たような言葉に内部統制があります。内部統制とは、企業の信頼性や健全性を保証するため、企業や従業員が守るべき仕組みやルールのことです。
コーポレートガバナンスは株主などの利益を守るための仕組みであるのに対して、内部統制は企業の信頼性を守るための社内向けの仕組みです。しかし、どちらも情報公開の透明性といった共通の目的があるものであり、コーポレートガバナンスを達成するための要素が内部統制となります。
CSRとの違い
CSRとは、企業の社会的責任のことです。消費者や従業員だけでなく地球環境や地域など、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーに配慮した経営のことを指します。
企業によって配慮すべきステークホルダーの範囲は異なり、それぞれの企業で課題を見つけて取り組む必要があるります。コンプライアンス同様、CSRを達成するための要素としてコーポレートガバナンスがあると言えます。
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