
ERPシステムとは
ERPとは(Enterprise Resource Planning)の略で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を集約して適切に分配し活用する考え方や、それを実現するシステムです。主要業務に必要なデータの統合や管理によって、情報活用を促進し、迅速な経営判断を可能にします。
【ERPシステム】選び方とシステム導入の流れを解説

ERPシステムの選び方
必要な機能が過不足なく搭載されているか
費用対効果を見極める
サポート体制は充実しているか
セキュリティ対策を評価する
導入実績は豊富か
必要な機能が過不足なく搭載されているか
ERPシステムの選定では、自社の既存業務に活用できる機能が、過不足なく搭載されているかを確認しておくことが必要です。現状の業務フローを分析し、改善すべきポイントを具体的に洗い出した上で、システムに求める要件を明確化していきましょう。
しかし、不要な機能が多すぎると操作が難しくなります。必要な機能を洗い出し、それらがバランスよく搭載されているシステムを選ぶ方法がおすすめです。
費用対効果を見極める
ERPシステムの選定では、導入・運用コストと得られるメリットを比較検討することが重要です。
業務の効率化や意思決定の迅速化による定量的・定性的な効果を見積もり、投資対効果を慎重に判断していく必要があります。
コスト面では初期導入費用だけでなく、ランニングコストも考慮しましょう。ライセンス費用や保守費用、システム更新費用など、中長期的な視点でトータルコストを見積もることが求められます。
サポート体制は充実しているか
ERPは、パフォーマンスを測定しながら常に改善し続けることが重要です。
導入後、わからないことがあった場合にベンダーから適切なサポートを受けられるよう、導入前に具体的なサポート内容を確認しておきましょう。
トラブルやエラーにはどの程度対応してくれるのか、サポートの方法は電話かメールか、対応可能時間はいつか、導入から運用に至るまでの伴走サポートはあるかなどを事前にチェックしておくことが大切です。
セキュリティ対策を評価する
ERPシステムの選定では、アクセス権の管理やデータ暗号化などのセキュリティレベルを吟味し評価することが重要です。
ERPでは企業の経営資源のすべてを管理するため、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えるようにしましょう。
クラウド型のERPシステムを選ぶ際は、クラウドベンダーのセキュリティ対策を確認することが不可欠です。
導入実績は豊富か
導入実績は、システムの質を判断する材料となるので、公式サイトなどでチェックしましょう。似た業種・規模、導入後の効果などを総合的に考慮したうえで、導入するERPシステムを選ぶことが重要です。
ERPによって、よく導入されている業種や企業規模が異なるケースもあるため、自社と似た境遇の企業での導入実績があるかどうかがポイントになります。

ERPシステムの導入の流れ
導入目的の明確化と製品選定
プロジェクトメンバーの選出
業務内容の洗い出し
新しい業務プロセスの構築
試験導入を行う
本導入を実施する
1.導入目的の明確化と製品選定
ERPシステムの導入前に、まず利用目的を明確にしましょう。例えば、業務の効率化や業績の向上など具体的な目的を設定し、その達成に向けた計画を立案しましょう。また多くの場合、幅広い機能の中から必要なものを選択して利用するため、現行システムの課題解決となる機能を搭載した製品を選ぶとよいでしょう。
2.プロジェクトメンバーの選出
ERPシステム導入にあたり、社内の担当者を決めてプロジェクトチームを結成しましょう。経営層や現場の従業員を巻き込むことで、同意を得た上で綿密な導入計画を策定することができます。
プロジェクトチームには、現場の管理に関与している人をできる限り選びましょう。実際の現場での知識や課題を持ち寄ることで、より実現可能な視点でシステム要件を定義できます。
3.業務内容の洗い出し
ERPシステム導入前に、現在の業務フローや管理方法を洗い出してみましょう。現行業務の課題や非効率な部分を特定し、改善の余地を探ります。
業務フローの棚卸は、現場の担当者へのヒアリングや、業務マニュアルの分析などから行います。
現状の業務を可視化することで、システム化によって解決すべき課題や優先順位を明らかにすることが重要です。
4.新しい業務プロセスの構築
ERPシステム導入では、システムを活用した新しい業務フローを検討・策定する必要があります。
現場の意見を積極的に取り入れながら、自社にとって最適な業務プロセスをデザインしていきましょう。
新たな業務フローの策定では、現行業務の課題解決だけでなく、業務の標準化や効率化も視野に入れていくことが大切です。
5.試験導入を行う
ERPシステムの本格導入前に試験的に運用し、問題点を洗い出しましょう。データ移行や操作性など、実際の運用を想定したテストを実施します。
試験導入では、一部の部門や業務に限定して行うのが一般的です。
課題や改善に向けて重点的に取り組める環境で、段階的に範囲を広げつつ、システムの安定稼働と業務への適合性を確認していくことが求められます。
6.本導入を実施する
本導入に向けて操作方法やトラブル時の対応マニュアルなどを作成します。リリース後は、システムが正常に稼働しているかを確認しながら、慎重に運用することが大切です。
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