ABL(売掛債権担保融資)とは?とファクタリングの違いを解説
- FA
- 2月22日
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更新日:4月6日

ABL(売掛債権担保融資)とは
ABL(売掛金担保融資)とは、「Asset Based Lending」の頭文字を取った略称で、売掛金(売掛債権)を担保として融資を受ける方法を指します。
もし期日に返済がなされなかった場合、銀行などに担保として差し入れた売掛金(売掛債権)から返済資金を回収される形となります。
融資を受けたくても担保として差し入れる不動産などの資産を保有していない中小企業や個人事業主などでも、リスクを抑えながら活用しやすい資金調達の手法といえます。
ABL(売掛債権担保融資)とは?とファクタリングの違いを解説

ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングは、異なる資金調達方法のため調達コストや審査、資金調達のスピードなどに違いがあります。
ABL(売掛債権担保融資) | ファクタリング | |
契約の内容 | 金銭消費貸借契約 | 売買契約 |
資金調達先 | 銀行・信用金庫などの金融機関やノンバンク | ファクタリング会社 |
資金調達に使える財産 | 在庫などの動産債権 | 債権のみ |
資金調達できる額 | 担保の評価によって変わる | 売掛債権から手数料を引いた額 |
審査で重視されるもの | 申し込みをした会社の信用情報 担保の価値 | 売掛先の信用情報 売掛債権の回収可能性 |
審査の厳しさ | 厳しい | やさしい |
資金調達までのスピード | 2~4週間 | 最短即日 |
利息や手数料の相場 | 年利2%~10% (上限は20%) | 2者間:8%~18% 3者間:2%~9% |
売掛先が倒産した場合 | 借りているお金の返済が必要 | ファクタリング会社が損失を負担する |
契約の内容
ABLとファクタリングの大きな違いは契約内容です。
ABLは、売掛債権や在庫などの動産(不動産以外の財産)を担保に入れてお金を借りる金銭消費貸借契約です。銀行や信用金庫の中でABLを取り扱っている金融機関に申し込みを行い、融資を受けます。融資ですので、会社の信用力(借りたお金を返済できる能力)に対する審査が必要です。そのため、資金調達までにかかる時間も長く、赤字や税金の滞納があると利用できません。
ファクタリングは、売掛債権を売却して、本来の入金時期よりも早く資金調達を行う売買契約となります。売掛債権を売却できるのはファクタリング会社です。ファクタリングは売買契約なので、売掛債権を売却して資金化した後、売却した売掛債権を回収すれば終了と短期で契約が完了します。赤字や税金の滞納があっても利用できるのが特徴です。
資金調達に使える財産
ABL
在庫商品
機械設備
社用車などの車両
農産物や畜産物
などの動産(不動産以外の財産)を担保として使うことができる。
ファクタリング
売掛債権のみが対象。
資金調達できる額
ABLで資金調達できる額は、借入する金融機関の審査によって異なります。
売掛債権の額に加えて、在庫や材料など担保に入れられるものすべての総額の評価額によって借り入れできる額が変わります。担保となる資産の評価額が高ければ、資金調達できる額の上限も上がります。
ファクタリングは売掛債権を売却することで資金調達を行うことになります。
そのため、売却する売掛債権の額以下しか資金調達を行うことはできません。
審査
ABLは売掛債権を担保に入れた融資なので、担保の評価だけでなくABLを申し込んだ会社の信用情報や経営状態も審査対象です。
どれだけ売掛債権の評価が高くても、申し込みをした会社の信用情報が悪い場合は審査が通らないことがあります。
審査はファクタリングと比較すると厳しめになります。
ファクタリングは売掛債権を売却する契約なので、審査の対象となるのは売掛先の信用情報です。売掛先の信用情報や経営状態がよければ、申し込みをした会社の信用情報を問われることはありません。信用情報が悪い、すでに借入がある場合でも利用できるのがファクタリングの特徴となります。
資金調達までのスピード
ABLは申し込みをした会社の信用情報や担保の価値を審査するため、審査に2週間から3週間はかかります。そのため申し込みをしてから実際に資金が手元に入るまでは最短で2週間はかかります。
ファクタリングは、売却する売掛債権の価値や売掛先の信用情報を審査します。
審査は最短30分で行えるファクタリング会社もあり、申し込みから最短でその日のうちに資金を調達することが可能です。
利息や手数料の相場
ABLは融資なので、利息を支払う必要があります。
利息は借り入れを行った金融機関や会社の信用情報などによって変わりますが、年利2%~10%程度が相場です。利息の上限は貸金業法で規制されており、最大で年利20%となっています。
ファクタリングは融資ではないため、利息ではなく手数料を支払います。
手数料の上限に規制がなく、ファクタリング会社によって手数料は様々です。
手数料の相場は、2者間ファクタリングで8%~18%程度、3者間ファクタリングで2%~9%程度となります。
ABLの利息とファクタリングの手数料では、ファクタリングの手数料の方が高くなる傾向があります。あらかじめ利息や手数料についても考えた上で、利用する資金調達法を選択しましょう。
売掛先が倒産した場合
ABLは売掛債権を担保に入れて融資を受けているため、売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合は担保の価値がなくなり、金融機関に借りたお金を返済しなくていけません。
ファクタリングの場合は、基本的にノンリコース契約(償還請求権がない契約)となるため売掛先が倒産した場合もファクタリング会社に売掛金を支払う必要はありません。
そのため売掛先が倒産しても、自社にはダメージがなく、連鎖倒産のリスクを防ぐことができます。
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