ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングのどちらを選ぶべきか?メリット・デメリットも解説
- FA
- 2月22日
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更新日:4月6日

ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングには、それぞれメリットやデメリットがあります。資金調達の際どちらを選ぶべきかは、自社の事情によって変わります。
この記事では、ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングのどちらを選ぶべきか、それぞれのメリット・デメリットも解説します。
ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングのどちらを選ぶべきか?メリット・デメリットも解説

ABLのメリット
ファクタリングの手数料より利息が安い
売掛債権以外の財産を担保に利用できる
スタートアップでも資金調達しやすい
ファクタリングの手数料より利息が安い
ABLを利用するメリットは、ファクタリングを利用した時に支払う手数料よりも、払う利息が安くなりやすいという点です。利息は金融機関によっても異なりますが、年利2%~10%が相場となっています。ABLを利用し、100万円を1年間借り入れした場合、年利2%であれば支払う利息の額は2万円です。それに対して100万円の売掛債権を2者間ファクタリングで手数料10%で売却した場合、支払う手数料は10万円となります。支払う額が安いというのはABLを利用する最大のメリットです。
売掛債権以外の財産を担保に利用できる
ABLを利用するメリットは、売掛債権以外にも、在庫や機械設備などの動産を担保として利用できるという点です。
ファクタリングは売掛債権がないと利用できませんが、ABLは在庫や機械設備なども活用できるため、利用できる企業の幅が広くなっています。
売掛債権の額は少なくても、在庫や機械設備などをたくさん持っている会社であればABLの方が資金調達しやすいというのはメリットです。
スタートアップでも資金調達しやすい
新規立ち上げや起業して間もない段階で、資金調達の方法が限定されている場合でも、ABLであれば融資を受けやすいことがメリットです。
不動産などを所有していない自社資産の乏しい企業でも、事業運営により発生した在庫や売掛金などを担保にすることでお金を借りられます。
無担保・無保証での借入れではないため、金利や返済期間なども好条件で契約できる可能性もあり、スタートアップでも安心して融資を受けやすいでしょう。
ABLのデメリット
審査に時間がかかる
赤字決算では利用できない
過剰担保の可能性がある
審査に時間がかかる
ABLの審査では、担保として差し入れる資産を評価することが必要であるため、入金までは最低でも2週間程度かかります。売掛債権を担保とする際には売掛先の信用力、在庫や機械などを担保とするのなら資産価値の評価が必要です。
評価には時間を要するため、最短でも2週間、多くの場合は申し込みから平均1か月程度かかります。すぐにお金が必要という緊急資金としては活用しにくく、2週間から1か月程度前には申し込みなど済ませておくことが必要であることはデメリットです。
赤字決算では利用できない
ABLは、企業が今後も継続して利益を生みだすことができるかなど、将来性を重視した審査を行います。そのため赤字決算の場合や、税金を滞納しているケースにおいては、審査に通らず利用することができません。
税金や社会保険料などの支払いが厳しいという場合には、滞納する前にABLを計画的に活用し、支払いを遅れないことが大切です。
過剰担保の可能性がある
金融機関によって、担保として差し入れる資産の価格評価は異なるため、状況によって過剰担保になる可能性があります。ABLで担保として差し入れるのは、売掛債権などの債権以外に、在庫や機械などの動産です。
売掛債権を担保とする場合には、取引先への請求額が債権額となり、金額が確定しています。しかし、動産の場合には評価する金融機関などによって評価額が異なるため、借入金額よりも多すぎる担保を差し入れた状態となる過剰担保のリスクがあります。
不動産を担保として差し入れる場合には担保価値の基準が決められているものの、ABLでは様々な資産を担保として扱うことができることで、過剰担保になる可能性が高いことがデメリットです。
ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングのどちらを選ぶべきか
ABL(売掛債権担保融資)がおすすめのケース
在庫を多く抱えている場合
在庫を多く抱えている企業の場合は、ABLを利用するのがおすすめです。
ファクタリングでは在庫を資金調達に利用することができませんが、ABLであれば持っている在庫を担保に入れて資金調達することが可能です。
売掛債権は少ないけど、まとまった在庫を持っている場合は、ABLの利用を検討しましょう。
なるべく支払いを減らしたい場合
利息や手数料といった支払いをなるべく少なくしたい場合もABLがおすすめです。
ファクタリングの手数料はファクタリング会社によって異なりますが、ABLの利息とファクタリング手数料を比較した場合、ABLの利息の方が安く済む場合がほとんどです。
なるべく支払い額を減らして負担を少なく資金調達したい場合はABLを選択しましょう。
ファクタリングがおすすめのケース
緊急で資金調達しなくてはならない場合
ファクタリングがおすすめなのは、緊急でなるべく早く資金を調達する必要がある場合です。緊急で資金を調達しなくてはならない場合、最短でその日のうちに資金を手に入れることが可能なファクタリングが役立ちます。
ABLの場合は最短でも資金調達に2週間はかかってしまうので、緊急性の高い場合はファクタリングを利用すると良いでしょう。
売掛先の与信が不安な場合
売掛先の与信に不安がある場合も、ファクタリングの利用がおすすめです。
ABLの場合、売掛先が倒産したら自社の倒産リスクも高まりますが、ファクタリングでノンリコース契約をしていれば、売掛先がたとえ倒産したとしてもファクタリングで得た資金を弁済する必要はありません。審査の際にファクタリング会社が売掛先の与信情報をしっかりと調べてくれるので、売掛金(売掛債権)の未回収リスクを軽減しつつ、安心して利用することが可能です。
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